不動産広告、駅からの徒歩分数表示など9月1日に改正!

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不動産公正取引協議会連合会は、改正された「不動産の表示に関する公正競争規約(以下、表示規約)」及び「表示規約施行規則」を、2022年9月1日に施行するという事です。これにより、10年ぶりに不動産広告に関するルールが変わることになります。

この記事を読むと

✔不動産広告に掲載している内容の変更点がわかる

✔不動産広告に記載してある細かなところがわかる

✔これから不動産広告を見るときの注意点がわかる

この記事を書いた人
名前:くろちゃん(宅建士)
金融業、住宅営業から不動産業へ。
不動産屋を開店させるために奮闘中!!

しろちゃん
しろちゃん

不動産広告ってよくみるよね!

徒歩○分って書いてあるのを目安にみてるよ。

くろちゃん
くろちゃん

うん、どの不動産広告にも『徒歩○分』は記載があるね。

今回はそれも含め変更箇所や注意点を簡単に説明していくね!

新ルールはいつ出来たのか?

改正案が不動産公正取引連合会の通常総会で承認されたのが2021年10月22日です。
2022年2月14日に、公正取引委員会及び消費者庁に対して改正案の認定申請と、施行規則の変更承認申請を行い、2022年9月1日の施行と決定したのです。
2022年2月〜8月の半年間、事業者または広告会社への周知期間として設けられ、2022年9月1日より新ルール施行となります。
現行の規約は周知期間の最終日2022年8月31日までとなります。
周知期間中は現行の規約を使用します。
尚、強化点(厳しくなる部分)については施行日より先に表示をしても問題はないとのことです。

不動産広告に掲載する情報には細かいルールがあります

『表示規約」について説明しましょう。不動産広告には、物件のどんな情報を掲載するのか、掲載する情報はどんな基準で表示するのかといった、統一したルールが必要です。全国9地区の不動産公正取引協議会では、会員の不動産業界団体に所属する不動産事業者が守るべき自主規制ルールを運用して、そのルールを公正取引委員会と消費者庁から認定を受けています。このルールが表示規約です。

表示規約では、土地や新築分譲住宅、中古マンションなどの物件種別ごとに表示すべき事項を定めている。「新築」といえるのは完成後1年未満で、そして、未入居のものと規定したり、「徒歩1分=道路距離80メートル(端数切り上げ)」、「1畳=1.62平方メートル以上」といったさまざまな表示の基準を設けています。

表示規約の大きな改正は、前回2012年5月31日に施行されました。それから10年が経ち、その間に協議会には、不動産広告を扱うようなポータルサイトや不動産事業者から、さまざまな問い合わせや要望が寄せられていました。実情に合わない部分なども出てきたため、改正作業に着手したそうです。

消費者に不利益にならないかを線引きに改正

不動産広告に掲載する建物の写真については、実際に取引するものを掲載するルールですが、新築住宅で建物が未完成の場合、「取引しようとする建物と規模、形質及び外観が同一の他の建物の外観写真」であれば掲載することができる、としています。ところが実際には、同一の他の建物の写真であるのはまれなことで、広告上では「施工例」などと称して規定に適合しない他の建物の外観写真を掲載している事例も多くみられます。

不動産ポータルサイトの任意団体である「不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)」で調査したところ、「施工例として他の建物の写真を掲載すること」について、ほぼ8割の消費者が許容するという結果もあり、「同一の建物でなくとも、規模、形質、外観が類似する建物であれば掲載できる」と変更しました。

ルールを決める線引きのラインは、業界の実情に合っているか、消費者に利益がある、または不利益がないかということです。表示規約の改正には、公正取引委員会と消費者庁からの認定が必要であり、消費者に不利益となるような変更はなされないのが原則です。

【要注意】徒歩所要時間などに大きな変更あり

特に消費者に知っておいてほしい改正点ですが、今回の改正では「徒歩所要時間や道路距離を算出する場合の起点の考え方と分譲物件の所要時間表示」の影響が大きいという点があります。

徒歩1分=道路距離80メートルと定められているが、問題はどこから(起点)どこまで(着点)の距離かということ。改正前はその施設などから最も近い物件(敷地)の地点を起点または着点とするルールだった。一定規模の分譲地や大規模なマンションの場合は、多くの一戸建てやマンションが建っている場合があり、筆者も経験したことがあるが、広告に記載された徒歩分数では取材先のお宅に行きつけなかったということが起こる。

今回はこうした点でいくつか改正点があります。下記の【画像1】のような住宅の戸数が複数ある分譲物件の場合、従来の最も近い住戸からの所要時間に加えて、最も遠い住戸からの所要時間も表示すると改正しました。同じく、周辺情報として例えば市役所等がある場合の表示方法も「○○市役所まで200mから450m」や「○○市役所まで3分から6分」(今回の改正で公共施設や商業施設については、道路距離に代えて所要時間の表示も可能となりました)と最近と最遠の幅で表示することになるのです。

【画像1】最も近い住戸からの徒歩所要時間に加えて、最も遠い住戸からの時間も表示する

出典:「表示規約・同施行規則の主な改正点を解説したリーフレット」より転載

出典:「表示規約・同施行規則の主な改正点を解説したリーフレット」より転載

また、【画像2】のように物件から駅などの施設までの徒歩所要時間や道路距離を表示する際に、マンションやアパートの場合は、その起点を「建物の出入り口」と明文化されました。

ちなみに、駅の出入口は駅舎の出入口が起着点となり、改札口としなくていいです。地下鉄の場合は地上にある出入口となるので注意して頂きたい点ですね。

【画像2】所要時間や道路距離の起点は、マンションなどの場合は「建物の出入り口」とする

出典:「表示規約・同施行規則の主な改正点を解説したリーフレット」より転載

出典:「表示規約・同施行規則の主な改正点を解説したリーフレット」より転載

消費者への影響として、最も遠い住戸までの所要時間も併記することは、消費者にはわかりやすいというメリットがあります、特にデメリットはありません。一方、マンションの出入口を起点とすることも、消費者にわかりやすい改正点です。しかし、従来のルールでは敷地内の最も近い地点から計測して構わなかったので、広告する際に【画像2】の敷地(緑色の部分)の最も駅に近い場所から計測してもルールに違反することはなかったのです。

改正前にマンションを購入し、これから売ろうとしている場合、購入当初の物件パンフレットには、例えばA駅から徒歩2分のマンションと記載されていても、売るときにはマンションの出入口が起点に変わるため、計測し直した結果、A駅から徒歩3分とか4分という表示になる可能性がありますね。

自分のマンションは駅から徒歩2分だと思っていたのに、広告では違う分数で表示されて驚くといったことのないように、ルールの変更点を正しく理解しておくことが大切ですね。

他にもある、広告表示の改正点

ほかにも、いろいろな改正点があります。所要時間を調べるには、交通ルート検索サイトやアプリなどを利用している方も多いでしょう。その場合、乗り換えや待ち時間を含んだ所要時間が計算されます。従来のルールでは、「乗り換えが必要な場合はその旨を明示」とだけだったので、所要時間には乗り換え時間や待ち時間を含めると変更した。

【画像3】所要時間に乗り換え・待ち時間を含む(最寄りのA駅からC駅まで30分~33分)

出典:「表示規約・同施行規則の主な改正点を解説したリーフレット」より転載

出典:「表示規約・同施行規則の主な改正点を解説したリーフレット」より転載

また、電車などの所要時間について、改正前は「平常時の所要時間を著しく超えるときは通勤時の所要時間を明示すること」とされていたので、よほど差がない限り、最も短い所要時間を表記しており、通勤ラッシュ時の所要時間ではありませんでした。今回の改正では「朝の通勤ラッシュ時の所要時間を明示し、平常時の所要時間をその旨を明示して併記できる」に変更されました。

この他にも改正点はいくつかあります。詳しく知りたい方は下記のページでみれますので、一度確認してみてください。

不動産の公正競争規約(2022年9月1日施行)

まとめ

今回、規約の変更点について主なところを挙げさせて頂きましたが、規約はこれが全てではありません。不動産公取規約は、物件種別ごとに記載項目なども変わりますし、他の業種で使えるはずが禁止または制限されている用語なども存在します。
不動産広告は、マイホームを選ぶ際に重要な情報となります。そのため、消費者が同じモノサシで比較できるよう、同じルールで広告しようと、不動産業界自らがルールを定めています。物件を選ぶ消費者側も、どんなルールで掲載しているのか、ルールをきちんと守っている会社かを、しっかりチェックすることが大切ですね。

くろちゃん
くろちゃん

不動産を買う人にも、売る人にも大切な情報だね。

不動産広告はインターネットやチラシでとても身近なものだから、今回の改正点を気にしながら見るといいね!少し難しいところもあるから、わからない事があったら、信頼のおける不動産屋さんに聞いてみよう!

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