様々なご事情によりお住まいのマンションや戸建てに居住しなくなった場合や、遺産相続により不動産の遺贈を受けた場合に、その不動産をどのように活用したらよいかお悩みのことはないでしょうか。
選択肢としては、売却する、賃貸に出す、空き家のまま保有するといった選択肢が考えられますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
今回は、居住しなくなったマンションや戸建てを売却する、賃貸に出す、空き家のまま保有するといった選択肢のうち、判断のポイントとなるメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
この記事を書いた人
名前:くろちゃん(宅建士)
金融業、住宅営業から不動産業へ。
不動産屋を開店させるために奮闘中!!
住まなくなった家やマンションって、必要ないから売却したほうがいいのかな?
そうだね、必要なくなったら売却もいいよね!他の方法もあるから解説するね。
マンションや戸建てを売却するメリット・デメリット
今後居住予定のないマンションや戸建てを売却することで、その不動産資産を現金化できることが最大のメリットであると考えられます。
一方、売却した場合は、当然に資産としての不動産がなくなってしまうことがデメリットであると言えるでしょう。
売却の際のメリット・デメリットを次のとおり詳しくご紹介していきます。
売却のメリット
不動産資産を現金化できること
不動産を売却することの最大のメリットは、不動産資産を現金化できることが挙げられます。
不動産を売却する場合、経年による建物価値の減少を抑え、将来の資産価値の変動リスクを回避することで、不動産資産の現在価値を確定させることが可能となります。
また、不動産資産を現金化することで、ライフプランに合わせた多様な使途に充当が可能となり、さらに次の住まいの買い換え先を探す場合でも、現金化した売却代金をそのまま次の不動産の購入資金に充当が可能となりますので、スムーズに手続きを進めることが可能となりますね。
維持管理費用が不要
不動産を保有し続ける場合には、固定資産税・都市計画税といった税金や、建物の修繕費用や庭木の保全費用(マンションの場合には管理費・修繕積立金)などの維持管理費用が必ずかかってきます。
不動産を売却した場合には、当然に以降の費用負担は不要となります。
売却のデメリット
売却すると再度手に入れることが困難・・・
不動産は2つとして同じものが存在しません。
売却した不動産と同じ地域の戸建てであっても土地面積や建物面積など不動産の存する条件は当然に異なってきます。
また、同じマンションであったとしても、階数、間取り、方位など部屋の条件は変わってくるのです。
したがって、一度手放してしまうと再度同じ不動産を手に入れることは困難となりますので、将来その不動産を必ず利用する必要性があると判断される場合には売却という選択は得策でないと考えられます。
売却に伴なう費用負担の発生
不動産の売却時には、不動産仲介会社への仲介手数料、抵当権抹消などの登記費用、印紙税など、さまざまな費用負担が発生することとなります。
さらに、多額の売却益が出ることは喜ばしいことですが、場合によっては譲渡所得税が課税されることもあります。
また、住宅ローンの借入れ金額(残債務)を売却代金で返済できない場合には、自己資金を充当することが必要となってきます。
マンションや戸建てを貸すメリット・デメリット
現時点で居住していないマンションや戸建てを、賃貸物件としてほかの人に貸すという活用方法もあります。
転勤に伴なう一時的な転居などで、将来その不動産に戻る可能性がある場合には、一時的に賃貸に出すことも選択肢のひとつです。
賃貸の際のメリット・デメリットを次のとおり詳しくご紹介します。
賃貸に出すメリット
家賃収入を得られる
賃貸に出す際の最大のメリットは、不動産を貸し出すことにより家賃収入を得られることです。
住宅ローンを完済している場合には、賃料収入が定期収入となりますし、住宅ローンが残っている場合でも不動産資産を保有したまま月々の住宅ローンの返済額の一部に家賃収入を充当することが可能となりますね。
不動産を資産として保有し続けられる
賃貸に出す場合には、不動産を資産として当然に持ち続けることができます。
将来の建物価値の減少や市場相場の変動リスクはあるものの資産を分散所有する点においては有効な手段であり、さらに将来その不動産に戻ることになった場合においても、再び居住できるというメリットがあります。
賃貸に出すデメリット
管理の手間や維持管理費用がかかる
賃貸に出す場合、まず、リニューアル工事の費用や入居者募集の費用が発生します。
その後、入居者が見つかった後は、入居者の管理とあわせて物件の維持管理や修繕義務が発生するため定常的に費用の支出が必要となってきます。
空室となった場合には、その期間は家賃収入がありませんので、維持管理費用や住宅ローンの支払いなどでかかった経費がそのまま持ち出しとなってしまいます。
また、貸主は、引続き不動産を保有するため自然災害や火災によるリスクに備え、火災保険の加入についても備えをしておく必要があります。
売却する際、売却価格のマイナス要因となる
賃貸に出し、入居者がいる状態のままでも不動産の売却は可能ですが、その場合には、通常の実需利用の居住用物件ではなく、収益物件として取り扱われることになります。
そのため購入検討者が限定されることとなり、空室の状態で売却するよりも賃貸中の状態で売却する方が、一般的には売却価格は低くなる傾向があります。
いずれ売却を、と考えている場合には、賃貸に出す前に売却したほうが得策であるといえるでしょう。
賃貸は不動産経営という事を忘れずに
賃貸に出すということは、新たに不動産経営を始めるということになります。
不動産経営には、一定の安定収入が期待できる一方、不動産や入居者の管理、賃貸収入(不動産所得)に対する所得税の課税などさまざまな労力や費用がかかります。
そのため、ビジネスとして現在の仕事と両立できるものであるか、また労力に見合った利益が得られるものであるかを考慮の上、よく検討することが重要です。
借主があらわれない場合には、維持管理費用や経費だけがかかり、収入にはならないからです。
また、もうひとつ重要なことは、ご自身がその不動産に戻りたいと思ったとしても、原則、普通賃貸借契約が有効な限りは、借主に対して明け渡しを求めることができません。
いずれ戻る予定がある場合には、当初設定した賃貸借契約期間で契約が終了する定期賃貸借契約をおすすめしますが、定期賃貸借契約は、普通賃貸借契約の賃貸物件より賃料水準が低くなることを考慮しておく必要があります。
空き家のまま保有するメリット・デメリット
売却、賃貸以外の選択肢として、そのまま空き家の状態で保有しておくという選択肢もあります。
空き家のまま保有する際のメリット・デメリットを次のとおり詳しくご紹介します。
空き家のまま保有するメリット
自由に戻る(利用する)ことが可能
転勤などでご所有不動産に一時的に住めなくなったとしても、近い将来戻ることが想定される場合には、空き家のまま保有しておくことで、賃貸に出した場合のように賃貸借契約期間に制限されることなく、ご自身が必要となった際に自由に戻る(利用する)ことが可能となるので、それが最大のメリットといえますね。
空き家のまま保有するデメリット
空き家の維持管理費用がかかる
空き家のまま保有する場合は、維持管理費用の負担や税金の支払いが定常的に続くこととなります。
空き家の維持管理に費用を要する理由について、次のとおりご紹介いたします。
人が住んでいない不動産は、湿気などの影響で建物の経年劣化が進みやすくなるといわれています。
そのため、定期的に建物を訪れ、換気や清掃をしなければいけません。
水道の通水や水漏れ確認、不要郵便物の廃棄なども必要となります。
戸建ての場合には、庭木の手入れや建物内外部・敷地内に異常がないかなどについても定期的に確認しなければなりません。
さらに人が住んでいないことで、不法侵入や放火など防犯面のリスクもありますので、外観からも管理されている状態を保っておくことが重要です。
そのためご自身が空き家を直接管理できない場合には、定期巡回や庭木の手入れなどを管理会社などに依頼することをおすすめいたします。
マンションの場合には、建物内部の維持管理以外の建物全体の管理やマンション敷地内の維持管理は、一般的に建物管理会社がおこないますので、所有者ご自身が直接管理をおこなう必要はありませんが、毎月の管理費・修繕積立金の支払いが必要となります。
さらに、賃貸の場合と同様に不動産を保有し続けるため、固定資産税・都市計画税の納税や自然災害・火災によるリスクに備えた火災保険の備えも必要となります。
そのため、空き家のまま保有し続けることを選択し、結局その不動産に戻らないことになった場合には、不要なリスクと無用な定常的費用の負担を背負ってしまったということにも成りかねず、そのような場合には、空き家のまま保有するメリットはほぼないといっても言い過ぎではないかもしれません。
その不動産に戻るかどうか不確かな場合には、安易に空き家のまま保有せず、ご自身のご事情にあわせて売却か賃貸かを選択することをおすすめします。
まとめ
何らかのご事情で所有の不動産に居住しなくなった場合や遺産相続により不動産の遺贈を受けた場合などに、売却、賃貸、空き家のまま保有するといった選択肢のうちどれを選択することがよいかご理解いただけましたでしょうか。
これまでご紹介してきたとおり売却、賃貸、空き家のまま保有する場合には、それぞれにメリット・デメリットがありますので十分な検討が必要ですね。
また、所有者ご自身のご事情や今後のライフプランによってもどの選択肢が最適であるかは異なってきますので、不動産の活用方法にお悩みなら、まずは信頼できる不動産会社に相談してみましょう。
住まなくなったからと言って売却する以外にも方法があるから、自分にあった方法を選択するといいね。ぜひ信頼できる不動産屋さんに相談してみよう。
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