管理業務主任者は、管理会社で「独占業務」を行うために必要な資格です。そして、国家資格であるため「ちょっと敷居が高い」と思う方もいます。
管理業務主任者は、マンションなどの管理会社に勤めている人は取得したい資格です。けれども、それのみならず、宅建やマンション管理士の資格をトリプルで取得し、キャリアアップや将来の転職・独立に役立てたい人にとっても足がかりになる資格だといえます。わかりやすく解説していきます。
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名前:くろちゃん(宅建士) → 改め、宅建士・・・鶴田 欣也(つるた きんや)金融業、住宅営業から不動産業へ。 → 遂に『開業』出来ました!!
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センチュリー21 不動産売却センター
初めて聞く資格なんだけど、どんなことができる資格なんだろう?
そうだよね、普段は聞かない資格だよね!
今から分かりやすく説明していくね。
管理業務主任者はどんな資格なの?
管理業務主任者は、マンション管理の前提となる管理受託契約の重要事項の説明から、受託した管理業務の処理状況のチェック等及びその報告までマンション管理のマネジメント業務を担うものとなります。
管理会社の事務所ごとに国土交通省令で定める人数の設置が義務付けられていることから、管理業務主任者はマンション管理会社になくてはならない重要な役割をもった資格です。また、管理業務主任者の受験も宅建士、マンション管理士同様に、受験資格に制限はなく誰でも受験することが可能です。主な仕事は、マンション管理業者が管理組合と管理受託契約を締結する際、管理組合の構成メンバーである区分所有者に契約の重要事項説明を行ったり、管理業務の処理状況のチェック及び報告を行う、といったことですね。マンション数が年々増え続けているだけでなく、区分所有者の高齢化が社会問題としても注目されつつある昨今において、ますます資格の必要性が高まるでしょう。
※区分所有者とは、分譲マンションなどの区分所有建物において、専有部分を所有している者のことを「区分所有者」という。 この区分所有者は管理組合を結成し、集会において管理規約を議決し、同じく集会においてさまざまな議案を議決することができる。
管理業務主任者の試験情報?
宅建試験と同じく、年に1回試験が行われます。時期は宅建試験が終わった約2か月後です。
受験申込書配布期間: | 令和4年8月1日(月)~令和4年9月30日(金) |
受験申請期間 | 令和4年9月1日(木)~令和4年9月30日(金) |
試験方法 | 50問4肢択一による筆記試験 ※マンション管理士試験の合格者は5問免除 |
試験日 | 令和4年12月4日(日)午後1時から午後3時まで |
試験地 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県、及びこれら周辺の地域 |
合格発表 | 令和5年1月20日(金) |
試験科目 | 1.管理事務の委託契約に関すること 2.管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること 3.建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること 4.マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること 5.上記1.から4.に掲げるもののほか管理事務の実施に関すること |
受験手数料 | 8,900円(非課税)※振込手数料は申込者負担 |
試験実施機関 | 一般社団法人 マンション管理業協会 |
管理業務主任者試験の難易度は?
管理業務主任者の試験は、国家資格のわりには平均合格率が高めです。試験は、平成13年からスタートしましたが、おおむね20〜30%ほどの合格率を保っている状況です。偏差値に例えると「58」で難易度は「普通」のレベルです。そして、平均合格基準率は、試験問題全50問中33〜39点になっています。
管理業務主任者試験の内容と出題範囲
管理業務主任者試験も、マンション管理士試験と同様に2時間で全50問の4肢択一をマークシートで回答します。試験範囲はマンション管理士とほぼ同じと考えていいでしょう。ただし、管理業務主任者にとって重要なマンション標準管理委託契約書から多くの出題があるなど、分野別出題数がマンション管理士試験とは少し異なります。
管理業務主任者試験の標準的な分野別出題数は以下のようになります。
管理業務主任者試験 | ||
法令 | 民法・その他法令 約10問 | |
区分所有法等 約6問 | ||
標準管理規約 約8問 | ||
マンション管理適正化法 5問 | ||
管理実務 | 標準管理委託契約書等・会計 約9問 | |
建築・設備 約12問 | ||
合計 | 50問 |
法令関連
法令関係の試験範囲はマンション管理士試験とほぼ同じですが、マンション管理士試験と比べると「民法・その他法令」の出題数が多く、「マンション標準管理規約」の出題数が少なくなっています。
法令関係の問題の難易度はマンション管理士試験ほど高くはないと言われています。
また、マンション管理士試験と同じように、マンション管理士試験に合格した人は「マンション管理適正化法」の5問が免除される制度があります。
建築・設備関連
建築・設備関連の試験範囲もマンション管理士試験とほぼ同じです。
出題数はマンション管理士試験に比べて少なめです。
とは言え、試験範囲としてはかなり広いので、無理して学習の手を広げ過ぎないように注意しましょう。
管理実務・会計
マンション管理を管理業者に委託する際の契約書の標準モデルである、「マンション標準管理委託契約書」についての出題が約6問あります。
管理業務主任者の実務での重要な知識であるため、細かい部分も問われるので、テキストを読み込むとともに、実際のマンション標準管理委託契約書にもしっかり目を通すようにしましょう。
また、マンション会計の問題もマンション管理士よりも多く出題されます。
会計問題は過去問を多く解いて、問題に慣れることが重要な攻略ポイントです。
試験範囲の重複
管理業務主任者試験の出題範囲である、民法・区分所有法・借地借家法などは 宅建士の試験と重複している部分があります。そのため、管理業務主任者試験の受験者は、宅建士合格者も多く合格率がアップするのです。
逆に初学者にとっては「合格率20〜30%」と楽観視していると、勉強をスタートしてから「思ったよりも難しい!」と慌てることになるのでご注意くださいね。
管理業務主任者試験・年度別難易度
管理業務主任者試験の、過去5年分の難易度(合格率)の推移を比較してみました。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点 |
---|---|---|---|---|
平成26年 | 17,444名 | 3,716名 | 22.5% | 35点 |
平成27年 | 17,021名 | 4,053名 | 23.8% | 34点 |
平成28年 | 16,952名 | 3,816名 | 22.5% | 35点 |
平成29年 | 16,950名 | 3,679名 | 21.7% | 36点 |
平成30年 | 16,249名 | 3,531名 | 21.7% | 33点 |
ここ数年間は、大きな変化は見られません。しかし、最近は都心を中心にマンションの着工数も増加していることから、それに伴い「マンション管理」の仕事も必要になると見込まれています。
この業界での就職や転職を考えている人にとって、管理業務主任者は必須の資格となっていくでしょう。
まとめ
管理業務主任者は国家資格だけれども難易度は高くないので合格しやすい……と考えている人もいます。ですが、民法・区分所有法・建築/維持管理ほか、手間のかかる難しい科目があるので、きちんと準備時間を設けて計画的に勉強してみるといいですね。
管理業務主任者試験は、他の資格試験内容と重複している部分もあるんだね。
試験まであともうひと踏ん張りだね!頑張っていこうね。
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